テレアポやインサイドセールスといった営業代行の業務は、電話越しに不特定多数と接する機会が多く、カスタマーハラスメント(カスハラ)にさらされやすい業務のひとつとされる。暴言や過度なクレーム、威圧的な態度などが繰り返されると、担当者の離職や生産性低下につながりかねない。実務としてどのような対応が考えられるか整理する。
営業代行の現場でカスハラが起きやすい背景
アウトバウンド型の営業代行では、相手が望んでいないタイミングで連絡を取ることも多く、断られる過程で強い言葉を向けられる場面が発生しやすい。またクレーム対応窓口を兼ねる営業代行の場合、既存顧客の不満のはけ口になりやすい側面もある。
- 電話特有の匿名性から言葉が過激になりやすい
- 断りづらい状況でのストレスが担当者に向かいやすい
- 録音や証拠が残りにくい業務形態も一部存在する
委託元・委託先双方で整えておきたい体制
ポイント:カスハラ対応は個人の忍耐力に頼るのではなく、組織としての仕組みで受け止める発想が基本になる。
| 体制の観点 | 具体的な取り組み例 |
|---|---|
| 事前ルール | 対応困難な場合の切り上げ基準をあらかじめ定める |
| 記録の徹底 | 通話録音や対応履歴を残し客観的な事実を確保する |
| エスカレーション | 一人で抱え込ませず上長へ引き継ぐ経路を用意する |
| 事後フォロー | 深刻な事案があった担当者へのメンタルケアを行う |
契約における役割分担の明確化
営業代行を外部委託している場合、カスハラが発生した際の一次対応を誰が担うのか、委託契約の段階で取り決めておくとスムーズだ。委託先の担当者が矢面に立ち続ける構造になっていないか、発注企業側も定期的に確認しておきたい。
トークスクリプトでの予防策
攻撃的な反応を招きやすい言い回しを避ける、断られた際の切り返しを一定回数で区切るなど、スクリプト設計の段階でカスハラの発生確率を下げる工夫も有効とされる。無理に商談を続けようとする姿勢がかえって反発を招くこともあるため、引き際のルール化は品質面でもプラスに働きやすい。
組織として取り組む意義
カスハラ対応は個々の担当者の資質に依存させず、組織的なルールと記録の仕組みで支える発想が基本となる。厚生労働省もカスタマーハラスメント対策の指針を公表しており、営業代行に限らず幅広い業種で体制整備が求められる流れにあると言えるだろう。
よくある質問
Q. カスハラが起きた際、担当者を電話口から即座に外してもよいのか A. あらかじめ切り上げ基準を社内ルールとして定めておけば、担当者の判断で対応を打ち切ることは有効な対策の一つとされる。
Q. 通話録音はカスハラ対策として有効か A. 証拠の確保という点で有効とされることが多い。ただし録音の告知など運用ルールは事前に整理しておく必要がある。
Q. 営業代行を委託している場合、カスハラ対応の責任は誰が負うのか A. 契約内容によるため一概には言えないが、一次対応の役割分担を契約段階で明確にしておくことが望ましい。
Q. 深刻なハラスメントを受けた担当者へのケアはどう行うべきか A. 上長への報告体制の整備に加え、必要に応じて産業医や相談窓口につなぐなどのフォロー体制を用意することが推奨される。