2024年に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、業務委託契約全般に影響を及ぼす法律だが、個人事業主やフリーランス人材を営業代行として起用する場面でも無関係ではない。営業代行業界には個人契約のインサイドセールス人材やコンサルタントも多く関わるため、契約実務の見直しを検討する企業も増えている。本稿は一般的な制度理解を目的とした解説であり、個別の適用可否は専門家や公的機関に確認してほしい。
フリーランス新法の対象となる取引
この法律は、従業員を使用せずに業務委託を受ける個人(特定受託事業者)と、業務委託を行う事業者との取引を主な対象としている。営業代行の文脈では、個人で活動するインサイドセールス代行者やテレアポ専門のフリーランスに業務を委託するケースが該当しうる。
発注者に求められる主な義務
制度上、発注事業者には概ね以下のような対応が求められるとされている。
- 契約条件(業務内容・報酬額・支払期日等)の書面等での明示
- 報酬の支払期日を給付受領日から起算して60日以内のできる限り早い時期に設定
- ハラスメント防止に関する体制整備
- 継続的な取引を中途解除する場合の事前予告
ポイント:口頭でのやり取りが多かった個人委託の営業代行契約こそ、書面化のインパクトが大きい領域と言える。
営業代行業界で想定される変化
| 変化の観点 | 想定される内容 |
|---|---|
| 契約書の整備 | 個人契約者との間でも書面契約が標準化しやすくなる |
| 支払サイトの見直し | 60日ルールを踏まえた支払条件の設定が必要になる |
| ハラスメント対応 | 相談窓口の設置など体制整備が求められる場面が増える |
| 契約解除の運用 | 継続契約の打ち切りに事前予告が必要になるケースが出る |
これまで慣行的に行われていた口頭合意ベースの個人委託契約は、書面化・条件明確化の流れが強まると見られている。
実務担当者が意識したい視点
営業代行会社側・発注企業側のいずれにおいても、個人事業主との契約を扱う機会が今後増える可能性がある業界だからこそ、契約書のひな形整備や支払管理フローの見直しは早めに着手しておきたいテーマだ。既存の業務委託契約書が最新の制度に対応しているかどうか、一度棚卸しをしてみる価値はあるだろう。
制度理解を深めるために
フリーランス新法は運用の詳細や解釈が今後整理されていく可能性がある分野でもある。厚生労働省や公正取引委員会が公表するガイドラインなど、公的機関の最新情報を確認しながら、自社の契約実務をアップデートしていく姿勢が求められる。
よくある質問
Q. フリーランス新法は営業代行会社にも直接適用されるのか A. 営業代行会社が個人事業主に業務委託を行う場合は発注事業者として対象になりうる。取引の形態によるため、詳細は公的機関の情報を確認したい。
Q. 支払期日の60日ルールとは具体的にどのようなものか A. 給付を受領した日から起算して60日以内のできるだけ早い時期に報酬を支払うことが求められるとされている。
Q. 契約条件の書面明示は電子データでもよいのか A. 一定の要件を満たせば電磁的方法での明示も認められるとされている。詳細は制度の公表資料を確認してほしい。
Q. 既存の業務委託契約書を見直す際、何を優先すべきか A. 支払条件・契約解除条件・ハラスメント相談窓口の有無など、制度が求める項目から優先的に確認するのが目安になる。