商談の中で顧客が本音を語らず、表面的な言葉だけでやり取りが進んでしまうことは少なくないとされる。特にBtoBの商談では、担当者個人の懸念よりも社内向けの建前が先に出やすく、真の障壁が見えにくいまま話が進むこともある。こうした状況で有効とされるのが、相手の感情や状況を言葉にして名付けるラベリング話法だ。断定せず「〜のように見えます」という形で相手の内面を言語化することで、訂正や補足という形で本音を引き出しやすくなる。

ラベリング話法の基本構造

ラベリングは「あなたは〜だ」と決めつけるのではなく、「〜のように感じておられるかもしれません」と控えめに提示する点が特徴とされる。相手は訂正しやすく、結果として本音に近い情報が返ってきやすい。

商談での使いどころ

沈黙や迷いを言語化する

相手が返答に詰まっている様子を見せた際に「決めきれない事情がおありのようですね」と声をかけることで、隠れた懸念が語られやすくなるとされる。

反対意見を先取りする

「この提案には社内で慎重な声もあるかもしれません」と先に言葉にすることで、相手が身構えずに本音を共有しやすくなる。

感情ではなく状況に焦点を当てる

相手個人の性格を評するのではなく、置かれている状況や立場に焦点を当てたラベリングのほうが、反発を招きにくいとされる。

ラベリングの型使用例
迷いの言語化「まだ判断材料が足りていないようですね」
反対意見の先取り「社内で慎重な意見もありそうですね」
状況への言及「予算の確保に苦労されているようですね」

ポイント:ラベリングは言い当てることが目的ではなく、相手が「違います、実は」と続きを話しやすくする呼び水として使うものだろう。

言い当てが外れても構わないという前提で使うことが重要だ。訂正されること自体が、相手の本音を引き出す入り口になり得る。

よくある質問

Q. ラベリングが外れた場合、気まずくならないか A. 断定的な言い方を避けていれば、外れても訂正という形で会話が続きやすく、大きな支障にはなりにくいとされる。

Q. どのタイミングでラベリングを使うのが効果的か A. 相手が沈黙したり言葉を濁したりするタイミングで使うと、特に本音が引き出されやすいとされる。

Q. ラベリングを多用しすぎるとどうなるか A. 頻用すると誘導的な印象を与えかねないため、要所を絞って使うほうが望ましいだろう。

Q. 個人の性格に踏み込むラベリングは問題ないか A. 個人の性格評価に踏み込むと不快感を与えかねないため、状況や立場に焦点を当てる方が無難とされる。