2つの選択肢では迷っていた顧客が、3つ目の選択肢が加わった途端にすんなり決断する。こうした現象の背景にあるのがおとり効果と呼ばれる心理だ。価格プランの設計において、あえて選ばれにくい選択肢を加えることで本命の選択を後押しする手法として知られる。

この心理効果とは何か

おとり効果とは、本来選んでほしい選択肢(ターゲット)よりも明らかに劣る第三の選択肢(おとり)を用意することで、ターゲットの魅力を相対的に引き立て、選択を誘導する現象を指す。行動経済学者ダン・アリエリーの著書で紹介された実験が広く知られている。

例えば「松・竹・梅」の3段階プランで、竹プランを本命に据えたい場合、梅プランを割高に見せる価格設定にすることで竹プランへの誘導が生まれるとされる。

営業トークへの具体的な応用

  • 本命プランの価格対効果が際立つよう、比較対象となるプランを意図的に配置する
  • 松竹梅の3段階提示で、真ん中のプランに視線と選択が集まりやすい構造を作る
  • 各プランの違いを一目でわかる比較表にまとめ、判断材料を明確にする

ポイント:選択肢は多ければよいわけではなく、比較の土台をどう設計するかが価格戦略の本質だろう。

プラン価格目安想定される役割
梅(松の下位互換に近い価格)やや割高竹の魅力を引き立てる比較対象
竹(本命)中間最も選ばれやすい設計
松(上位)高価格竹の割安感を補強

使う際の注意点・倫理的配慮

おとり効果は心理的な誘導技術であるため、顧客にとって実質的な価値のないプランを見せかけだけで用意することは誠実さに欠ける。どのプランを選んでも一定の価値が提供される設計にすることが望ましい。

電話営業での実践例

電話では価格表を目視できない場面もあるため、口頭で「多くの方はこちらの中間プランをお選びです」と伝えつつ、後追いで比較資料を送ることで、おとり効果と情報提供を組み合わせる実践が見られる。

よくある質問

Q. おとりプランはまったく売れなくてよいのですか。 A. 実務上は稀に選ばれることもあり、その場合でも顧客に不利益がない設計にしておくことが望ましい。

Q. プランは3つが最適ですか。 A. 3つが比較しやすいとされるが、商材によっては4つ以上でも機能する場合がある。

Q. 顧客に見透かされることはありますか。 A. あり得る。あからさまな価格差を設けすぎると不信感を持たれるため、自然な価格設計を心がける必要がある。

Q. サブスク型の商材でも使えますか。 A. 使える。月額プランの3段階設計は特にこの効果が働きやすいとされる。