営業は新規受注、カスタマーサクセス(CS)は継続・拡大と、両部門は追うKPIも評価タイミングも異なる。この構造そのものは自然だが、接続点を設計しないまま運用すると、営業が受注優先で無理な期待値を顧客に伝え、CSがその尻拭いに追われるといった歪みが生じやすい。KPIの整合性は、部門間の対立を防ぐための設計問題として捉えるべきだろう。

KPIが噛み合わなくなる典型パターン

  • 営業:受注件数・売上のみを追い、契約後の利用定着は評価対象外
  • CS:解約率・NPSを追うが、受注時の期待値設定に関与できない
  • 両部門の評価期間がずれ、責任の所在が曖昧になる

こうした状態では、受注時点の情報が引き継がれず、初期離脱の原因が「言った言わない」問題に発展しがちだ。

評価軸の接続例

部門主KPI接続KPI(共通指標)
営業新規受注数・受注額初期定着率・オンボーディング完了率
CS継続率・アップセル額受注時ヒアリング品質・引き継ぎ完了率

共通指標を挟むことで、受注の「質」まで営業評価に組み込める。

ポイント:営業とCSの評価を完全に一致させる必要はない。重なり合う「橋渡し指標」を1〜2個設計するだけで、責任分担の曖昧さは大きく減る。

導入時の注意点

  • 共通指標の比重は低め(全体の1〜2割目安)から始めるのが現実的
  • 引き継ぎ資料のフォーマット統一が前提条件になる
  • 評価制度の変更は現場説明を丁寧に行わないと反発を招きやすい

給与・賞与に直結する制度変更を伴う場合は、就業規則や労使協定との整合を人事・社労士など専門家に確認することが望ましい。

よくある質問

Q. 営業とCSの評価比重はどう決めればよいか。 A. 事業フェーズによるが、初期定着率などの橋渡し指標は全体評価の1〜2割程度に留め、まず運用を回しながら調整するケースが多いとされる。

Q. 部門間のKPI連携は誰が主導すべきか。 A. 現場任せにすると利害調整が難航しやすいため、経営層または事業責任者が旗振り役となり、双方の管理職を巻き込んで設計するのが現実的だろう。

Q. 中小規模の組織でも導入する意味はあるか。 A. 部門間の人数が少なくても引き継ぎの属人化は起きやすく、むしろ小規模組織ほど共通指標による可視化の効果は大きいと考えられる。

Q. 導入後どのくらいで効果を検証すべきか。 A. 半期〜1年程度のサイクルで初期定着率や解約率の推移を見ながら、指標や比重を微調整していく運用が一般的とされる。